退職から開業届を出すまでの「年金・健康保険」の考え方!

ネット上で調べても調べても、「地域の担当者に確認してみましょう!」と煮え切らない答えばかり書いている、このあたり保険・年金のお話…。

自分の経験を通して、私なりのベストアンサーが出せたので記事にまとめておきます。

退職後から開業届を出すまでの手続きの流れを確認してみてください。

私がオススメしているのは、

退職直後の手続き
  • 健康保険=前職場の社会保険の任意継続(扶養ある場合は特に!)
  •  年金 =国民年金に移行(必須!)、失業免除を申請する

任継は国保より安く、年金も支払わなくてもOKになる!
開業届提出時
  • 健康保険=任意継続のままでOK(業務中の疾病は適用不可)
  •  年金 =失業免除も継続可能

開業届を提出する時もそのまま継続できる!
売り上げが無く年収が低かった翌年
  • 健康保険=任意継続を辞めて国保へ移行
  •  年金 =失業免除も継続可能

任意継続は退職年度の料率で2年間なので国保へ乗り換えが安い!

です!

それでは各項目ごとに補足説明していきます。

前半は健康保険、後半は年金という分け方で進行します。

退職後の健康保険は国保と社保任意継続…どっちがいいのか?

基本的に退職直後は「社保の任意継続の方が安い」です。

ご存知かもしれませんが、会社がかけてくれる健康保険である社会保険=社保は、会社と被保険者が半額ずつを納付することでコストメリットが生まれています。

となると、退職してから任意継続する場合は、全額を払わなくてはならなくなり、高くなりそうな印象があります。

が、実際には現職時の倍よりは安くなります。

理由は、退職後は保険料算定の基準となる「標準報酬月額」に上限が適用され、現職時よりも優遇されるため。

ただしこの上限は、会社の健康保険が加入している健保組合によって異なるので事前に確認が必要です。
(基本的には28万円が上限なので、それより貰っている人ならかなり安くなるはず)

ちなみにですが、私の加入していた健保組合は上限44万円でした…
安くはなったけど、ほぼ現職並み…

しかしそれでも、社保任意継続の方が安いです。

私は社保任意継続で現在39,600円/月ですが、国保のシミュレーションをした場合は私と妻の合算で45,000円程度になるところ。

国保の高さにびっくりしますねー…

家族持ちの場合は、社保特有の「扶養」という制度のおかげで、かなり安く抑えられている感があります。

MEMO
退職後の健康保険は社保任継が安い!

※退職後20日以内の手続きが必須です!

開業届を提出する場合、任意継続資格はなくなるのか?

気になるところはここなんですが、結論からいくと「開業届を提出したとしても変わらずに任意継続でOK」です。

開業=社会的な独立というイメージがあるので、一見前職場の恩恵を全くあずかれなくなりそうですが、問題無いようです。

ところが注意点がひとつ。

前職場の社保任意継続でカバーされる範囲は、あくまでも日常生活の疾病に対する保険なので、自分が始めた事業内で発生した怪我や病気は保険適用外だということ。

まあこれは確かに、前の職場の立場になって考えると「勝手に始めた事業で負った怪我の保障までしろと言われましても…」という感じ。納得。

MEMO
開業届を出してもOKだけど、疾病カバーの範囲に注意!

任意継続の保険料の変化について

金額が安く、特に困ったことが無いような社保の任意継続ですが、困ったところがひとつあります。

それは「加入期間が2年間」…というところではなく、「加入時点の保険料のまま2年間適用される」というところです。

私の例で行くと、2月に退職して任意継続をかけているので、次の年の収入は激減していることになります。

となれば、その年収で再計算してくれれば保険料もメチャ下がるんちゃうの?
という感想を抱くのは当然のこと。

しかし、社保の任継ではその配慮はなされません。

任意継続がスタートした時の保険料で2年間継続することになります。

なので、退職年の年末の確定申告の結果次第で、国保へ移行する必要が出てきます。
※何月に辞めても現職中より収入は減るはずなので、国保の方がお得なハズ…

なので、そこだけ注意ですね。

確かに最長2年間加入できますが、2年ずっと安いわけではないので適宜国保への切り替えが必要!

MEMO
退職年の次の年には国保への切り替えを検討しよう!

※3月が保険料算定時期となっているので、3月中に前年の源泉徴収票や確定申告書類を持って役場の国保窓口で相談しましょう!

ということで、健康保険関係のまとめ

起業時、一番お得な健康保険のかけ方
  1. 退職後、基本は社保の任意継続を選ぶべし
  2. 開業届を提出しても任継はOK,業務上の疾病に気を付けるべし
  3. 退職年の次の年から国保への乗り換えを検討すべし

これが一番安くなるはずです!

健康保険は加入義務のある、制約の強い制度です。

出費を抑えたいからと言って、強引に未加入を選択することは絶対に避けましょう!

退職時の国民年金処理について

これまでは健康保険についてのまとめでしたが、今度は年金のお話です。

お勤め時代はおそらく厚生年金として、企業側でかけてくれていたことと思います。

が、退職をするとなると国民年金への加入が必要になります。

厚生年金は被用者・企業がお互いに掛け金を拠出するものですが、国民年金は自分の拠出金のみでの積み立てとなります。

ほぼ健康保険と同じような感じですが、将来的に貰える額に関わってくるのでこればかりは企業勤めの方が圧倒的に有利です。

とはいえ、自分の力で稼ぐことを考えたからには避けては通れない道…

年金に頼ることなく生きられるくらいの財を成せるように頑張りましょう!

話が脱線しましたが、退職後の手続きについてです。

国民年金への加入手続き

国民年金も加入義務がある制度なので絶対に加入しなければなりません。

知らんぷりしてもいいことないのでオススメしません…

国民年金は退職後、14日以内に加入手続きをしなければならないことになっています…が、しかし。

私はこれを律義に守るために、離職票が届かない状態で、手元にあるだけの書類を抱え年金事務所に殴りこみました。

ところがどっこい、離職票が届き次第でいいそうです。

(私の時は離職票が無いので、事前に届いていた「健康保険・厚生年金 資格喪失等証明書」を元に手続きを進めました)

その時の担当さんが「離職票届いてからでいいんですよ~(笑)」という感じでしたが、「いやいや、なら14日以内じゃなくてそう書いとけや!」と内心ではハラワタがグラグラと煮えたことを思い出します…(遠い目)

なんにせよ、窓口に行って加入手続きさえしておけばOK。
(加入を忘れて、督促状が届いてもなお無視したりすると罰則が出るそうです)

同居家族なら家族分もその場で手続きできる

私は律義にHP上で「委任状」をプリントアウトして持って行ったりもしましたが、同居の家族であればその場で本人確認と、書類を書くだけで手続きが出来ました。

ただし、申請する家族の分の年金手帳(基礎年金番号の照合のため)マイナンバーのわかる書類のどちらかを持っていく必要があります。
※最悪どっちも無くても調べてもらえるらしいですが、あった方が円滑です

失業による免除を申請する

退職後、収入が無くなるのに年金を払うのって大変ですよね…?

ましてや奥さんの分までなんて、超大変です。

国民年金だと、ひとり月16,410円かかります。
夫婦の場合は32,820円…

無収入だったらなおさらヤバいです。

年金で破産してしまう!

そうならないために、「失業等による特例免除」を申請します。

この手続きにより、前年度の収入に関係なく全額免除が適用されます。
(失業=収入ゼロ計算になるそうなので100%免除可能とのこと)

なんとこの制度、失業した人が世帯主だった場合は配偶者にも適用されるので、先ほど頭を抱えそうになった32,820円の年金保険料を払わなくてもよくなるということに!

使わない手はありません。

国民年金加入の手続きの際に、併せて「失業したので免除も申請したいんですけど…」と申し出ましょう。書類を出してくれます。

この場合も離職票で処理することになるので、やはり離職票が手元に来てから行くようにした方が手戻りが無い感じですね。

※私の地区のハローワークでは、初回の申請講習でこの免除申請用紙もくれました。

MEMO
離職票が届き次第、年金事務所で「加入」と「失業免除」の申請をしよう!

ただし、失業による免除はあくまで当該年度の免除が前提みたいで、一年間の免除が基本のようです。

それ以降(次年度とか)も、その年の収入に応じて応じて免除の適用が可能。

毎年の6~7月の申請時期を忘れずに、窓口で確認しながら申請しましょう。

特に言及はしていませんでしたが、「将来的に貰える年金額の変化についての説明」や「追納するしないという選択」などもあるため、一度年金機構のHPをご覧ください

参考 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度日本年金機構

そもそも私ら世代は貰えるかどうかすらわからん年金なので、免除申請で発生するデメリットはないと私は思います…

開業届を出した場合の年金免除の扱いについて

そして気になるのは、「開業届を出した後は同様に免除になるのかどうか」ではないでしょうか。

私もそこんとこがずっと懸念だったことを思い出したので、この記事を書こうと思い立った次第であります。

結論から申し上げますと「開業届を出しても、その年度分はひとまず全額免除でOK」でした。

失業による免除のシステム的には「失業という事実により、前年の所得を0として算定する」ことが基本となっているため、開業届を提出しても前年所得が0のまま計算されるので結果的に全額免除のまま…ということみたい。

なので、失業による年金の免除を受けていた場合、開業届を提出しても免除は受けられるということ!
(八戸市の年金事務所に電話で問い合わせたので確実!)

開業届提出に伴う追加申請とかも必要ないそうです。

もしも軌道に乗ったら、次の年からは収入に応じた年金保険料を支払うこととなりますし、全然上手くいってなかったらその収入に応じた免除区分で免除を申請できる、という感じ。

ひとまず安心して開業届を提出しましょう!

※私の場合は「個人事業主として、厚生年金や社保を掛けない形式で開業する」というのが前提条件になっていますので、人を雇ったり厚生年金をかけたり、という規模の起業であれば確認が必要です。

ということで、年金加入についてのまとめ

起業時、一番お得な年金の手続き
  1. 退職後は離職票が届き次第、加入手続きに行く
  2. 失業による国民年金免除制度をしっかり活用する
  3. 開業届を出してもビビらない!

という感じでしょうか。

以上が、退職から起業までの「健康保険と年金にまつわる手続き」でした。

基本的にはコレが鉄板の選択になるハズです。

時間があるならば、ご自分でもアレコレ調べてみて納得の上で実行すると不安感もなくていいと思います。でもめっちゃ煩雑なので自己責任で…

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